人はなぜ働かなければならないのか 山田ユギ

  • 2009/11/01(日) 22:26:37


bk1


「大丈夫、あんたがどんな変態でも、俺は受け入れますよ」
「変態はおまえだ!」


表題作は、さえない先輩リーマン38歳×できる後輩リーマン28歳。
後輩くんが隠していた先輩への想いがばれたとき、後輩くんは開き直ってアタックを始める話です。
ユギさんらしいギャグがあちこちで炸裂してました。
後輩くんの妄想が楽しかったです。

『closed』
短い耳かき話で、エロシーンはないのに、なんとなくエロいです。

『僕らはただ走るだけ』
高校大学会社と、先輩を追いかけてきた後輩の話。
「何でもっと早く言わなかったんだろう」って、ほんとですよ、あなた。

『CALL ME』
地球の裏側との遠距離恋愛話。電話だけって、やっぱり不安で寂しいですよね。
でも日本に帰れてよかった。それでもやっぱり遠距離だけど。

ユギさんの本なので、カバー裏も忘れずに見て下さい。
妄想対決は笑えます。

はつ恋 榎田尤利

  • 2009/10/25(日) 23:05:30


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先生にならなんだってあげていい。お返しは、なにもいらないよ。
生きていてくれれば、それでいいよ。


人当たりはいいけれど、心の中は冷めた31歳の弁護士久我山は、高校時代の担任曽根の通夜に出席した帰り道事故に遭い、なぜか高校時代の自分に戻ってしまいます。
体は高校生、中身は31歳の弁護士。
すっかり忘れていた高校時代の自分を再び体験するとき、14年前には見えなかったものが見え、以前はろくな印象もなかった曽根に惹かれていきます。
曽根がゲイで、DV男(彼も同じ高校の教師)と付き合い、暴力を受けていることや、自殺の原因となった借金のことなど、少しでも力になろうと努めますが……。

この作者さんのファンタジーは、『永遠の昨日』以来だったかな。
あれも大好きな作品ですが、これもとてもよかったです。
永遠の昨日の方は、悲しい結末でしたが、今回のは何度も読み返しそう。
曽根視点の『はつ恋のゆくえ』も、短いけどラブラブな感じでよかったです。

篝火の塔、沈黙の唇 玄上八絹

  • 2009/10/19(月) 00:06:40


bk1


「お前がたとえ人殺しでも、こんな塔に送られたのでは、…哀れに思う」
 ここは地獄なのだと、椿は言う。
「力、ない…私を許せ……」


敷島家の嫡男として生まれながら、幼い頃から盲目の椿は、島の灯台に閉じこめられ、腹違いの兄たちの慰み者にされている。
没落した武家の子だった十佐は、下男としてその島にやってくるが……。

初めて読む作家さんです。
実の父は亡き母を愛するあまりに椿を陵辱し、その父亡き後には、腹違いの兄たちは椿を憎んで弄びます。
描写はかなりエロくてややグロいくらい。
自分的には、一途な下男攻め×美貌の可哀想受けは好きなんですが、エロシーンがややくどくてちょっとお腹いっぱいになりました。
ストーリーも雰囲気もいいので、陵辱ものが大丈夫な方にはお勧めできます。

YES IT'S ME ヤマシタトモコ

  • 2009/10/13(火) 23:34:38


bk1


「おれが好きなのはおれだ」
「知ってるが?」
「だ、だからおれとおれは両思いであってだな…?」
「結構なことじゃないか」


表題作は飄々としたキノコ男×超ナルシスト男。
二人は幼なじみで付き合い歴は長く、幼稚園から小中高大学を経て、現在はベンチャー起業の社長(キノコ)副社長(ナルシスト)。
ナルシストの方は、「おれを振り返って見られる他人がうらやましい。おれもおれとすれ違って振り返ってガン見したい」という変な発想にまで至ったかなりぶっとんだレベルのナルシストでした。
まあ、かなり変なカップルだけど、それなりにラブラブなんで、読んでいて楽しかったです。

そのほかでは「夢は夜ひらく」が好き。
女の子になりたかった男と、170を超える身長を持つ女の、二人の美容部員の話。
BLとはちょっと違う感じだけど、表題作と共に、何度か読み返してしまいました。

蛇とワルツ 榎田尤利

  • 2009/10/03(土) 22:19:45


bk1


「確かにあんたの孤独はあんたにしか持てない荷物だ。俺は手伝ってやれない。でも、疲れたら俺に寄りかかって休めばいい。荷物を持ったまま、ガパッと体重を預けてさ……俺はあんたより十も下だけど、若い分体力はあるぞ。でっかい樹の幹みたいに、あんたを支える。ぐらついたりしないように、せいぜい踏ん張るさ」
 

Pet Lovers シリーズのラストは蛇です。
問題ありで手放され、よそから流れてきた若い蛇杏二を、オーナーの仁摩自ら研修に当たりますが、引き締まった肉体と野性的な美貌を持つ彼は、とんでもなく扱いにくい相手でした。
それでも彼が時々見せる別の顔を知り、心を開きかけたとき、杏二に対するある疑いが芽ばえ……。

仁摩の初めての男、袴田との微妙に気になる三角関係もあり、事件もありで引き込まれ、一気に読みました。
登場したときの傲慢で怠惰で手に負えない蛇と、懐いてからのスキンシップ過多な面倒見のいい年下の男との落差がなかなかよかったです。
これでこのシリーズは終わりだそうですが、ちょっと寂しいですね。

征服者は貴公子に跪く いつき朔夜

  • 2009/09/28(月) 00:05:07


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「私の仕事は王子だと言われました。でも、ただ身綺麗にして上等の部屋に暮らして、自分では何も作らず生み出さず、高価なものを買い与えられているだけなら、金に目がくらんだと言われてもしかたがないでしょう」
 牟田のこわばった顔に、傷ついた表情が浮かぶのがわかった。だが、なぜ彼が傷つくのかがわからない。その言葉によって貶められているのは自分なのに。


15歳で両親を失い、後見人になった叔父に財産を使い込まれ、借金を残して逃げられたパウルは、城をホテルとして使いたいという牟田に売り渡す契約をした。
しかしその契約には、パウルはこの城の王子として住み続けるという条件が付けられていた。

実業家牟田×ゴルトホルン城の元城主パウル・フォン・ヒルシュヴァルト
舞台はドイツです。
パウルはどこから見ても王子様で、優しく、でも毅然としたところもあります。
一方の牟田は、いつも難しい顔をした、取っつきの悪い男。
最初は牟田に対して反感を持っていたパウルですが、お互いにいいホテルにしようという共通の目的を持って動いていくうちに、次第に牟田に惹かれていきます。
雰囲気もよく、面白く読みました。
でも、ダンスの練習の場面で、ワルツなのに「スロー、スロー、クイック」はないです。
ワルツは「1、2、3」ね。

同級生 中村明日美子

  • 2009/09/22(火) 00:00:10


bk1


でもいい
どーでもいい
お前がそばにいるから
それだけでいい


底辺校に通うチャラ男草壁×優等生佐条。
なんとも甘酸っぱい青春ストーリーです。
佐条は高校入試のときに電車の中で倒れ、それ以来乗り物が駄目になり、結局入試にすべて落ちてこの高校に来たという、ある意味場違いな生徒。
一方の草壁は、バンドを組んで毎日を楽しんで生きているタイプ。
二人ともいいけど、個人的にはグータラ教師のハラセンがとても好きです。
佐条にときめきながら、「いや、でも教師と生徒だし。大人なら卒業まで待とうではないか」とか思っていたら、草壁にさらわれてしまった可哀想な男。
なんかくたびれたおっさんの悲哀を感じて、いいです。この人。

no reason −恋に堕ちる− 可南さらさ

  • 2009/09/13(日) 23:34:09


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「あいつと今一緒にいるの、しんどいんだよな…」
 ぼそりと呟かれた言葉が、冷たく尖った杭のように、心臓に深く突き刺さった。


人と関わることが苦手な柚木は、その大きな原因になった幼なじみ一成を苦手にしていますが、一成の方は冷たくされてもめげずに、何かと接近してきます。
実は一成自身は自分の過去の幼い行動で柚木を傷つけたことを後悔してるんですね。
好きな子にちょっかい出して嫌われた男の子のその後という感じです。
まあ、とにかく一成のけなげなこと。
ちょっとでも柚木に構ってほしい。柚木と一緒にいたい。柚木の役に立ちたい。
そういう強い気持ちが微笑ましくて、よかったです。
それからちょっとした思いのすれ違い。読者から見れば、お互いに思っているのは明白なのに、偶然立ち聞きしたセリフに悩んだり、本当に甘酸っぱい感じの高校生同士の初々しい恋物語でした。

ROSE GARDEN 禾田みちる(原作・木原音瀬)

  • 2009/09/06(日) 23:52:32


bk1


「私の望みは何でも叶えるとこいつは言った。
 もっと早くに言えばよかったよ。
 死んでくれ と」


嘘をついた天使の羽を、怒りにまかせて引きちぎり食べてしまった悪魔と、天に帰れなくなって悪魔と暮らす天使。
これだけでは気の毒な天使の物語みたいですが、読んでみると逆。
天使カイルは愛を知らず、身勝手で容赦ない性格で、悪魔ウォーレンの方はそんなカイルを心から愛し、羽を食べてしまったことを後悔しながらカイルのために献身的に尽くします。
でもウォーレンのそんな気持ちは、カイルには伝わりません。
切ない物語です。

小説が大好きだったのと、まるごと木原音瀬というアンソロジー「ergo」で読んで気に入ったので、コミックも買いました。
小説版に比べると、カイルの性格がやや穏やかになったような気がします。
最後にラブラブな感じの書き下ろしも入って読後感もいい、お勧めの一冊です。
コミックが気に入った方には、小説版もお勧め。

すみません。
またしばらく放置してました。
こんなしょーもないブログですが、またようやく復活できそうなので、今後ともよろしくお願いします。m(_ _)m

交渉人は振り返る 榎田尤利

  • 2009/06/01(月) 00:08:44



 あんたの過去なんか、どうでもいい。
 あんたの現在だって、どうでもいいくらいだ。あんたが聖人君子だろうと、極悪非道だろうと、人を信じようと信じまいと、関係ないんですよ
 どんなあんただって、手放す気はねえ


交渉人シリーズ第三弾です。
今回は交渉人芽吹が弁護士時代に弁護した朝比奈という青年が出てくるんですが、彼は今は振り込め詐欺に手を染めています。
芽吹はなんとか彼を立ち直らせようと奔走しますが……。
どうにも最初からこの朝比奈には、関わるだけ無駄という感じがしてました。
芽吹の気持ちがひたすら朝比奈にばかり向いていて、だまされてお金を奪われる人たちや、この詐欺グループを追っている人たちのことはほとんど無視というのが、なんだかなあという感じ。
過去に何かがあって、芽吹は朝比奈を通して別の人間を見ているようですが、その辺はこれからなんでしょう。
後味はやや悪い話でした。
一つよかったと思えるのは、朝比奈の姉が弟に会おうとしなかったこと。
もし会っていたら、多分このお姉さんはもっと傷つく結果になったのだろうと思いました。
冒頭に出したセリフはヤクザの兵頭のものですが、なかなかよかったです。
実際のヤクザは嫌いだけど、この人の一途さは可愛いです。

俎上の鯉は二度跳ねる 水城せとな

  • 2009/05/11(月) 00:14:47



貴方はほんとに可哀想な人だ。
ゲイでもないのにこんな蛇みたいな男につきまとわれて


前作「窮鼠はチーズの夢を見る」がとても面白かったので、続編が出たと聞いてすぐに買ってきました。
携帯で配信していたそうですが、携帯でマンガや小説は読みたくない方なので、本になってとてもうれしいです。

で、中身ですが。
面白かった〜!
今ヶ瀬の執着の強さが半端じゃなくて、でも本人が言ってる執念深い蛇というよりは、なんか黒猫なイメージ。
時々すごく可愛いかったです。
報われないとわかっていても、自分でもコントロール不能な恋心に振り回される今ヶ瀬も、そんな今ヶ瀬に振り回される恭一も不憫でしたが、ラストはこれで納得です。
リバってあんまり見る機会がないけど、これはとてもいい感じでした。
元々は今ヶ瀬受けが自然ですよね。
窮鼠を読んだときは、「えっ! 恭一が受け!?」と、びっくりしましたけど。
最後までページをめくる手が止まらず、読み終えた後は大満足でした。

タイトロープダンサー4、5 久能千明

  • 2009/05/05(火) 11:33:13




三四郎。
おまえとなら、永遠のその先まで、行けるかも知れない───。


1〜3巻の感想を書いてないのに、いきなり4巻5巻を書くなんてヨコシマなやり方ですし、大体、このシリーズは「タイトロープダンサー」全5巻の前に「青の軌跡」上下、「カタルシス・スペル」「クリスタル・クラウン」上下、「バロック・パール」「ペルソナ・ノングラータ」「ファントム・ペイン」と、総計13冊もあるわけですが、今回はこの2冊だけ書くことにします。
何しろ前の作品は読んだのがずいぶん前のことなので、話の内容もうろ覚えなのです。(^^;)

一応全作読んでましたが、正直このシリーズはもういいかな、と思っていました。
「青の軌跡」を読んでカイと三四郎の魅力にはまり、既刊をみんな買ってワクワクして読んだのはずいぶん前のことで、次が出るまでにあまりに時間が空きすぎてしまうし、特に「タイトロープ・ダンサー」に入ってからは、いまいち読んでいてのめり込むところがありませんでした。
でも、今回シリーズ完結と聞き、やっぱりここでやめるのは違うだろ、ということで買ってきました。
読んでよかったです。
少し退屈だった(失礼!)1〜3巻は、この完結編のためにあったんですね。
戦いの場で非情にならざるを得ない三四郎。
たくさんの人の断末魔の苦しみに感応してしまうカイ。
追い込まれた窮地から脱出するために、二人が次々と下す決断に驚かされながら、一気に読みました。
ただ、グイド・リーが自分の体をあんなふうにした理由は、どうにも納得できませんでしたが。

シリーズ開始から15年だそうです。
小説と沖麻実也さんのイラストがこの上なくマッチした、すてきなシリーズでした。