禁縛 剛しいら
- 2011/04/30(土) 14:10:08
「Mの苦しみのために奉仕するSこそ、Mの究極の奴隷だ」
主人公カップルとは別の登場人物の言葉ですが、なるほどと思ってしまいました。
緊縛師龍地は、梨園の御曹司草矢を縛りますが、それは決して龍地自身が「縛りたい」という欲望を持っているからではなく、草矢の願望に奉仕するため。
なんともマニアックな世界ですが、面白く読みました。
SMと言っても、基本的に「縛り」なのであんまり痛かったりするのは苦手という方でも多分大丈夫。
面白かったです。
つながりたい いつき朔夜
- 2011/04/25(月) 01:52:17
「深みにはめる自信はあった。たっぷり可愛がっておまえを完全に手のうちに入れて逃げられんごとなってから言おうと思うとった」
──こええ。
高校生同士の物語。
元ヤンで、今は真面目な優等生の皮を被った服飾コース特待生宗政×やんちゃで一本気なダンサー基一。
顔と腹の中は別人な宗政が魅力的でした。
基一への思いが結構一途なところもよかったです。
ただ、基一の物怖じしない性格はいいけど、意地の張り方には時々「?」な気分に。特にせっかくチケットもらってコスモパークにデートに行ったのに、勝手な思い込みで「帰る」と言い出すシーンなどでは、「おいおい」と思ったりもしましたが、ストーリーは面白かったし、方言も彼らに似合っていて可愛かったです。
真夜中クロニクル 凪良ゆう
- 2011/04/21(木) 23:16:46
「ねえ、ニーナは自分のこと『こんなん』って言ったけど、俺も『こんなん』だよ。でも『こんなん』同士、ジメジメ慰め合ったりするのは俺は嫌だ。俺はこれから、『こんなん』じゃない俺になりたいと思ってる。もちろんニーナと一緒にだよ」
光線過敏症で、紫外線に当たると皮膚が火傷のようになってしまう津田新名(ニーナ)と、7歳年下の真下陽光の物語。
3編入っていて、それぞれ18歳と11歳、23歳と16歳、26歳と19歳のときの物語です。
ニーナは病気が原因でひどい苛めにあい、小学5年生のときから不登校になっていますが、18歳になったときに、夜の公園で小学5年生の陽光に出会い、懐かれてしまいます。
夜しか外に出られず、家族以外とはまったく接触を持たないニーナに、物怖じすることなく近づいてくる陽光ですが、彼は彼なりに不仲な両親やいじめなどの悩みを抱えています。
それでも明るいんですよね。名前にぴったりの性格。
一方のニーナは、本当に付き合うのが難しい性格で、つぶやく呪文が「しね、ボケ」。
それでも陽光はめげずにニーナを好きだと言い続けます。
辛い部分も多い話ですが、でも愛情があって希望もある。
がんばってもめげることはあって、でもめげたときでも寄り添って支え合う相手がいる。
そういう暖かい物語でした。
ニーナは陽光に出会えて本当によかった。
そして陽光もニーナに出会えて本当によかった。
二人のためにそう思える、すてきな物語でした。
にせ王子ピナ 大鳥香弥
- 2011/04/13(水) 20:54:38
焼けるような痛みに悲鳴をあげながら、それでもピナは心の隅で深い満足を感じていた。
アスランは無事だ。
よかった。なんの役にも立てない自分が、初めて役に立てた。
サイカに連れてこられたあの日、パール王子の身代わりとして死ぬのは嫌だと思ったけれど、今アスランの身代わりとして毒蛇に咬まれて死ぬなら、後悔なんてない。
大国サイカの王子アスラン(ただし妾腹)×敗戦国ユーノスの孤児ピナ
ユーノスの城下町でゴミ拾いをしている孤児ピナは、王子様と顔がそっくりで、攻め入られた混乱の中、服を取り換えて王子の身代わりにさせられます。
ピナは国王、王妃と共に王子として囚われ、手枷足枷を付けられて敵国に移送されますが、敵の王の前で処刑されそうになったとき、「自分は王子ではない」と言い出します。
「命惜しさに誇りを捨てた王子」として軽蔑されながら、ピナは敵国の王子アスランの足元にひざまずき、奴隷として生きることを選びます。
このピナ、健気ですが弱々しくはなく、生きることに前向きないい子でした。
そして攻めのアスランも、誠実で真面目な男。
今までこの作者さんの書いてきた攻めは、傲慢だったり鈍感だったりして、ちょっと癖のある人が多かったけれど、今回のアスランは本当に好感の持てるいいキャラクターでした。
挿絵も小説にとても合っていてよかったです。
作者さんはあとがきで、自分の中には「王子と乞食」が住んでいる、と書いてましたが、それで言えば今回は王子様のふりをする乞食側のお話ですね。
『罪人は愛を知る』が身をやつして登場する王子様の話で、これも大好きな本ですが、今回のもとても面白かったです。
富士見二丁目交響楽団シリーズ第7部天上の愛地上の恋 秋月こお
- 2011/04/11(月) 22:11:43
そうして、ひとつ気がついた。バイオリンと出会って以来ずっと、僕はこの楽器が奏でる音楽に恋をしていて、五里霧中での暗中模索に七転び八起きしながらも、腕が上がって少しずつ思いが通じていくほどに、さらに深く恋い焦がれていくのであって……それが無上に幸せだということに。
BLを読み始めた頃に、初めてこのシリーズの1巻目を読んで、すぐにはまって既刊を全冊揃え、数年間は新刊を楽しみにして熱心に読んでいました。
でもいつからか買って読むのも惰性になって、やっぱりこれだけ長いと飽きてきたなと思っていたのですが・・・。
今回は本当によかったです!
最初の頃は「自分にはプロになれるような才能はない」といっていたあの悠季が、ここに来て花開きます。
ロン・ティボー国際音楽コンクールの予選から本選まで、本当に一気読みさせてくれました。
でもここまで・・・長かった!
地震から一ヶ月
- 2011/04/11(月) 21:41:07
長い間御無沙汰してしまいました。
なんだか気持ちが落ち着かなくて、ブログも放置していましたが、これからまた少しずつ書いていきたいと思っています。
関東地方に住んでいて、今日も大きな揺れを何度も感じて怖かったですが、被災地の皆さんのことを考えたら、こんな恐怖はなんでもないようなものです。
今はただ、原発の危険が早く収まりますように、被災地が早く復興しますようにと願っています。
世界は光に満ちている 深井結己
- 2011/03/06(日) 23:35:18
「僕は……いつも…好きになっちゃいけない人を好きになる」
「…あなた全然わかってない…好きになってほしいと願ってる相手を好きになって…何が悪いの?」
(「上弦の月が沈んだら」より)
短編集ですが、どれもとてもよかったです。
死にネタ率も高いし、切ない物語が多いけれど、それでも読み終えた後に感じるのは絶望ではありません。
どれも切ないけれど救いが必ずあります。
表題作もよかったけれど、私が一番好きなのが、上に挙げた「上弦の月が沈んだら」。
死ぬ間際の父の、恋人に宛てた3つの伝言を、12年後に伝える主人公の思い。伝えられた恋人の思い。
これはすてきなハッピーエンドでした。
一方、一番衝撃的だったのは、「契る花」。
触手ものと言えるのかどうかはわかりませんが・・・やっぱり触手でしょうね。
バラエティに富んだ、切ない物語が好きな方にはお勧めの一冊です。
座布団 剛しいら
- 2011/02/28(月) 02:01:41
「違う。師匠は本当は寒ちゃんのことを…好きなんだ。だから俺を、自分よりもずっと若くて、寒ちゃんの好みの俺を、弟子になんか本当はしたくなかったのに、わざわざ弟子入りさせたんだよ」
「何のために」
「いつか…寒ちゃんに与えるために」
『花扇』は以前文庫で買いましたが、『座布団』は絶版になっていて、気になりながらも読めずにいました。
今回復刊と聞いて、とてもうれしかったです。
テーマは落語。
名落語家山九亭初助に弟子入りした要(後の山九亭感謝)と兄弟子の寒也が主人公ですが、陰の主人公は師匠の初助でした。
この本は初助が死んだところから始まります。
回想と今が行き来しながら、弟子入りの頃から、少しずつ出世していく要と、落語を諦めて家業の植木屋を継ぐ寒也、そして初助が描かれます。
笑われるためなら何でもやってしまう要。
そんな要を「この馬鹿者が。お前はいつから幇間になったんだい」と怒る初助は、自分は女房の嫉妬を語るために、関係のあった弟子(寒也)と要をくっつけて、その様子を覗いたり、心中ものを語るために、愛人(男)に心中を持ちかけた上、待ちぼうけさせて裏切ったり、平気で捨てたりできる人です。
どのキャラクターも個性的で、エロ度は高くありませんが、面白く読み終えました。
花扇を読み返したくなってますが、腐海から拾い出すのが大変そうで困ってます。
傲慢な恋歌 大鳥香弥
- 2011/02/19(土) 14:28:03
「俺は一生蓮のものだ。言っておくが捨てることは不可能だからな。一生、どこにいても、すべてをなくしたときでも、俺だけは蓮のものだ。わかったな!」
傲慢なソングライター高羽優一郎と、彼と4年間の愛人契約をした身よりのない学生水瀬蓮の物語。
冒頭に抜き出したのは傲慢男高羽の精一杯の告白ですが、この告白に対して蓮が「わかりました」と答えたら、呆然とした顔で「本当だな?」と確かめてしまうし、「愛していると言え」という高羽のラブソングに答えるつもりで蓮が「愛してます」と言ったら信じられないみたいな表情になったあげく、涙ぐんでしまうし、蓮にメロメロなのは隠しようもなくて、それでも一生懸命傲慢を気取る姿が何だか可愛く見えてしまいました。
最初の登場がひどかったのに、この変わり様が何とも言えません。
元々自分的には傲慢な攻めは好きじゃない方ですが、傲慢攻めが恋をして、ケナゲで一途な攻めに変身するのはかなり萌えます。
『罪人は愛を知る』もそんな攻め様でしたね。
最後のシーンの幸せそうな二人がとてもよかったです。
大変美味しくいただきました。
恋を知る 月村奎
- 2011/02/19(土) 10:21:06
「こんな身近におまえのことをかわいいと思う人間がいるんだから、この先、広い社会に出れば何十人とそういう相手に出会えるさ」
「一人だけでいい」
体裁は5編の短編集ですが、5編目はさらに4編のショートストーリーが入っているので、都合8編のストーリーが読めるお買い得本です。
さわやかな物語ばかりで、悪人も出てこないし、レイプだの暴力だのも無縁。それどころかエロもなし。
だけど青春の痛みや、叶わない恋の切なさや、思いがけずに恋が叶うときの喜びが、月村さんらしいこまやかな描写で描かれています。
私にとっては期待通りの一冊でした。
愛はね、 樋口美沙緒
- 2011/02/06(日) 21:44:56
「……俺は、本当はお前が、怖いのかもな」
「怖いって……なにが?」
「自分を変えられるのが。……お前に」
泣ける本と聞いていましたが、私的には泣くという感じではなかったです。
確かに叶いそうもない望の恋は切ないし、寂しがりやだから誰かいてほしいという気持ちもわかるけれど、自分を傷つける相手を簡単に許しすぎるのは、読んでいてムカムカしてしまいます。
視点が望だから、読んでいてどうにも同調できず、怒る俊一の気持ちの方がずっとよくわかって、一緒に怒りたい気持ちでした。
それでも、ひどく殴られながらその相手から「愛してくれ、愛してくれ」という心の声が聞こえてしまうというのは、やっぱり辛いですね。
その声が、俊一を求める自分の声のように思えるというのも。
一気に読んでしまったし、切ないのは確かに切ないけれどむしろ、望に苛立つけど放っておけない俊一に同情してしまう物語でした。
望も少しは変わったとはいえ、俊一は今後も大変だろうなあ、と思ってしまいます。
神官シリーズ 吉田珠姫
- 2011/02/05(土) 14:39:44
「王などというのは、ただ、冠が載っているかどうか、の話。俺の心は、……お前と遭ったあの瞬間から、囚われ人だ」
前から気になっていた神官シリーズの既刊4冊を読んでみました。
竜が出てくるようなファンタジーですが、中身は吉田さんらしい切なさいっぱい熱愛たっぷりのお話でした。
卑しい色とされる黒髪黒目を持って生まれた王羅剛(らごう)と、神の色とされる虹色の髪と瞳を持った貧しい生まれの冴紗(さしゃ)の物語です。
生まれたときに、星予見が告げた羅剛の真名(その子の一生を端的に表す名)は「虹に狂う者」。
その真名の通り、羅剛は虹色の冴紗に恋狂います。
一方、盲目の星予見が告げた冴紗の真名は「世を統べる者」。
一目その虹色の姿を見た者は、みな冴紗の虜となり、その前にひれ伏しますが、本人だけは自分のその姿を美しいとは思ってないし、むしろ羅剛の髪と目の色を最高の色だと思っていて、自分を卑しい者だと思ってます。
羅剛に熱愛されていて、周囲もそれがわかっているのに、冴紗だけはさっぱりそれをわかってません。
ずっとその思いのすれ違いは続き、「いい加減わかれよ!」と読んでいて突っ込みを入れたくなったりもしますが、それを含めて面白かったです。
二巻目以降も、羅剛の熱愛は続き、事件は起こってもやっぱりラストは砂吐きそうな甘いラブが堪能できます。
神官は王に愛される 吉田珠姫
神官は王を狂わせる 吉田珠姫
神官は王を恋慕う 吉田珠姫
神官は王を悩ませる 吉田珠姫


